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ビートコミュニケーション&セールスフォース対談:勝ち組企業が導入するソーシャルソフトウェア


ソーシャルやメッセンジャーサービスが生活に欠かせないものとなる中、生活者の情報行動に合わせてソーシャルソフトウェア市場はどう進化してきているのか。世界ではじめてエンタープライズソーシャルを開発したビートコミュニケーション代表の村井亮氏(※1)と4年連続で米Forbes誌が世界で最もイノベーティブ企業に選んだ、セールスフォースドットコムの関孝則氏と大川宗之氏の両氏が2014年12月1日にセールスフォースのオフィスで対談を行いました。(※1インターネット白書2006)




トピック
・エンタープライズソーシャルの国内市況について
・「ソーシャル・イントラネット」「ソーシャル業務インテグレーション」とは
・実際の顧客事例のご紹介
・製品特徴(ビートコミュニケーション、セールスフォース)
・未来の展望とまとめ
 
■エンタープライズソーシャルの国内の市況について
今、企業でのエンタープライズソーシャルはまさに盛り上がりを見せています。米ウォールストリート・ジャーナルなどの報道によると来年にはFacebookもこの分野に進出すると言われており、世界規模でムーブメントが起きています。ガートナーやIDCでもエンタープライズソーシャルが成長しており、ソフトウェアがソーシャルウェアに置き換わっていくことを予想しています。



ビートコミュニケーション 村井亮氏:昨今、ソーシャルソフトウェア市場が大企業だけに限らず、中小企業にも拡大しています。この数年でどのような変化がありましたか?
 
セールスフォース 関孝則氏:5年前はアメリカでも企業でSNSを果たして使うのか、という時代がありました。それが今ではトップ企業が次々社内SNSを使って成果を出し始めています。ベライゾン10万人、ネスレ30万人、ユニリバー、バーバリーと多くの企業が使っています。多くはトップが入れたいと思って導入したのがきっかけになっています。
 
ビートコミュニケーション 村井亮氏:最近はエンタープライズソーシャルの使われ方も進化していて、メーカーなどで自社の製品開発に使っている事例も徐々に増えてきています。企画開発、営業、マーケティングなど複数の部署にまたがって数千人の従業員が同時に企業内でエンタープライズソーシャルを活用して製品開発を行ったりマーケティング施策を考えたりしています。
 
セールスフォース 関孝則氏:弊社でも「新しい商品開発ができるという事例はないですか?」とよくお客様に聞かれます。そういう意識を強く持っている方もいらっしゃいます。社内活性化、コミュニケーション改善。経営課題に結びつけて考えられていますね。そこまで真面目に受け取ってくれる方は、昔は多くはありませんでした。
 
ビートコミュニケーション 村井亮氏:ある会社ではエンタープライズソーシャルの中に動画を組み込み、全社員がノウハウを共有しています。例えば現場でプランナーが企画したイベントを社内SNSにアップして各支店のプランナー同志でノウハウを共有したり、レストランでシェフが料理している工程やメーカーが製品の製造工程を現場から動画をアップすることでアルバイトや営業マンは自分達が提供しているサービスにより詳しくなり、セールストークのレベルアップをしています。
 
セールスフォース 大川宗之氏:アルバイトがストーリーを語れるということですか。シェフのナレッジをアルバイトに共有しているのですね。
 
セールスフォース 関孝則氏:暗黙知の共有という知識を画像、映像で共有しようっていう考えで今まで会話でしか出て来なかったものを吸い上げる仕組みが益々重要になってきていますよね。
 
■両社のエンタープライズソーシャルが成功している理由

セールスフォース 大川宗之氏:一般のお客様が考えられているのは、組織の風通しを良くして、いわゆる組織の壁を超える、という大上段の目標が設定されています。しかし大事なのは、地に足の着いた日頃の業務を、ソーシャルで行うということだと思います。日頃の業務をソーシャルで行うためには、プロジェクト管理やSFAなどの業務システムの仕組みとソーシャルはバラバラであってはいけなくて、画面を切り替えなくても使える必要があります。タイムラインを見ていたら、営業はこうしていたということがわかるようなシステムが大切です。
 
セールスフォース 関孝則氏:「ここで仕事しましょう」ということです。「仕事中につぶやいてもいいんですか?」ではなくて、ソーシャルで仕事をするという意識です。
 
ビートコミュニケーション 村井亮氏:エンタープライズ・ソーシャルネットワーク(企業内SNS)を使うと意思決定プロセスが早くなりますよね。全社員が経営者のように主体的に考えて行動するようになるので変化にも強くなり、経営者にとっては嬉しいツールなのですが、情報のスピードアップにたまに中間管理職がストップをかける場合もありますよね。そこの対策もポイントのような気がします。
 
セールスフォース 関孝則氏:自分たちの仕事を変えたくない、稟議のまわし方を変えたくない等、変えたくないというとSNSは難しいです。メールを導入した90年代にも、こういうのが入ったら困りますとか、社長にメールを送れないようにしてくれとか、当時何度も聞かれました。
 
セールスフォース 関孝則氏:どれだけ動機づけが出来るかが大事です。まさに変化の激しい環境では、すぐその場で反応しないといけません。エンタープライズソーシャルはまさにウォールームです。軍隊のマネジメントも、中央集権型の「コマンド&コントロール」から、権限委譲型の「ミッションコマンド」に移行しています。事実、アメリカの軍隊のマネジメント方法はそのように変化してきています。
 
ビートコミュニケーション 村井亮氏:その通りです。あの湾岸戦争でも旧来型の中央集権型のコマンド&コントロールでは犠牲者が増えてしまうため、現場へ権限移譲するミッションコマンドに移行したらしいです。今、大企業も中央集権型のマネジメントでは外部のスピードの変化に追い付かなくなってきています。各企業がウォールームを設けてスピーディーに変化する外部環境に適応していかなければならない時代が来ています。いま、外部環境の変化は恐ろしいスピードで加速し、経営環境は常に変動しています。企業は危機にさらされているので社内での意思決定や情報伝達もスピードアップしなければなりません。例えば、ジョンソン・エンド・ジョンソンでは病院に納入している機器に問題が発生した事例があります。(※2)その時はコミュニティ機能を使って製品納入先の各病院の反応を一か所に集中しました。担当営業マンが集めた情報をすべて書き込んだのです。そして担当本部長はそれに基づいて判断をし、指示をだし、事なきを得ました。これは一種のウオールーム的な使い方だと思っています。(※2日本ナレッジマネジメント学会発表事例)
 
セールスフォース 関孝則氏:今の文化では対応できない。今、エンタープライズソーシャルを導入しなければ、変化に耐えられないでしょう。ということなのかもしれません。
 
ビートコミュニケーション 村井亮氏:弊社で問い合わせが多いのが、元々大手企業が、五年後、十年後の将来を見据えてなんとかしなきゃいけないよね。と思っていて、新聞に掲載された弊社の御客様の導入事例を見て、直感的にお問合せをくれる方が多いですね。「もともと社内SNSという考えは無かったけど、事例を見てこれだとおもいました!」という感じで問い合わせがよく来ます。実際、人間や組織の法則研究で有名な矢野和男さんの書籍「データの見えざる手」によると従業員に「知り合いの知り合い」が多い会社では、仕事での遅延が減るなど現場での問題解決能力が高く、仕事がうまくいきやすいことが証明されています。
 
・実際の顧客事例のご紹介

セールスフォース 大川宗之氏:例えば、セールスフォースでは日本事務器様に導入していますが、業務を活性化させるために、社内SNSのChatterを他システムと連携させる先進的なシステム活用を実践されています。1つの例として、「Watcherシリーズ」という基幹業務からの通知をChatterで受信する仕組みがあります。これにより、業務が発生した時点で処理を迅速に行えるようにしています。また、「Chatterグループティッカー」という、Google Appsで作ったポータルとChatterを連携する仕組みを構築し、ホットな話題の共有を行いながら、「Chatter文化の早期定着の手法」を狙いとして使用してらっしゃいます。
 Chatterの具体的利用例としては、社長賞審査処理において、Force.comで審査申し込みアプリを作ってリアルタイム集計を実現し、かつ、Chatterのやりとりで、審査員の間で受賞者の決定を議論しました。この時は、従来のExcelとメールでの方法では有り得なかったスピードで、受賞者を決定することができ、さらに受賞案件を共有し、みんなでさらに育てるためのインフラが実現しました。
 Chatter導入にあたっては、後のSFA導入を見据えて、Chatterで情報共有の土台作りをまずはじめに行うことを重視されていました。Chatterにより、今までの報告書文化から体験の共有文化へと変革したのです。ソーシャルが浸透する企業文化があり、それをさらに醸成していったことが、社内SNS導入の成功のみならず、営業改革の業務成功へとつながっていった良事例です。
 
またコネクシオ様でもセールスフォースをお使いいただいております。
 Salesforce導入の狙いは、営業の「情報私物化罪」の撲滅でした。以前は、案件情報、コンタクト情報などを営業が情報を抱え込んでいて共有されていませんでした。情報は会社の資産なのでこれは許されない行為と考え、全国レベルで情報をアップさせるようにすることを狙いとしていました。
 情報をオープンにすることに、はじめは営業は渋りました。しかし、Chatterでオープンにすることで、同僚や上司から情報やアドバイスをもらえたり、うまく行けば褒められたり、メールよりも便利だったり、メリットの方が大きいと営業が気付き始めて、活性化に弾みがついていったのです。さらに、Chatterでモチベーションが上がり、それがSFAへのデータ入力率の向上にもつながっていきました。
 具体的な活用例としては、在庫確認などの社内問い合わせ業務をForce.comでアプリケーション化し、Chatterと連動させています。Chatterのフィード上から直接問い合わせレコードを作成可能にしているので、通常の自由なフォーマットのつぶやきとは違って、入力項目が構造化されており、情報を迷わず入力できるようになっています。モバイルにも対応しています。以前に比べて、電話対応負荷が大きく減り、スピードも上がり、対応社員による回答品質のばらつきも少なりました。
 業務とソーシャルの2つをシステム連携させながら並行して利用し、シナジー効果で両方とも活性化していったところがこの事例のポイントです。
 
ビートコミュニケーション 村井亮氏:弊社でも三菱UFJリサーチ&コンサルティング様やペイロール様に導入しています。
 
三菱UFJリサーチ&コンサルティング様では、プロジェクトやテーマ・関心毎にコミュニティ機能を使ってディスカッションを実施しています。アイデア出し、意見のブレスト、議論、まとめを社内SNSで完結させることで質の良いナレッジが蓄積されます。加えて興味・関心をテーマにしたコミュニティ内の交流も増えており、本部・部室や地域を越えた繋がりが生まれる機会にもなっています。
また、社内SNSを社内に浸透させる仕組みのひとつにはタブレット端末からも利用できる環境構築が出来上がっています。社内SNS内は外部には出せない重要な情報を扱うため、タブレットからのアクセスを禁止する企業もありますが、同社ではセキュアなアクセスを可能とする工夫で、外部利用を可能とされています。
 
 
社員の自発的な発言の促進で言えば、昨年導入頂いたペイロール様がございます。
当時グループウェアなどを試行しながら社内SNSも検討していたそうです。
社内的なゆるいコミュニケーションや自由な発言が出来るツールとしてBeat Shuffleを導入して頂きました。
Beat Shuffleは利用したい機能を管理者側でON/OFFが可能ですが、最近では、Q&A機能を新たに追加し、新しく社内に導入したシステムに関する問い合わせ窓口として利用しようとして考えて頂いたり、顧客情報の共有など業務内容の他に、部活動の投稿や社員の結婚式の写真なども共有して活用して頂いています。
■各社の製品特徴
 
ビートコミュニケーション 村井亮氏:それでは両社の製品の特長はどんなところでしょうか?
 
セールスフォース 関孝則氏:Salesforce Chatterは、パブリック・クラウドで提供される社内SNSです。年3回の自動バージョンアップにより、世の中の動向やお客様の要望を取り込んで常に進化をし続ける環境をお客様は利用できます。最大の特徴は、業務アプリケーションとの統合です。Chatterは、Salesforceプラットフォームの機能の一部であり、開発することなく設定だけで業務アプリケーションとChatterを密接に統合させることが可能です。(図1)
 

図1 業務プラットフォームに統合されたChatter
 
これによりエンドユーザーは、業務に紐付けたソーシャルの使い方が自然とできるようになります。例えば、商談の情報をセールスチーム内で共有し、Chatterで会話しながらチームワークを最大限に発揮させて商談を進めることができます。Chatterの会話は、商談レコードにアクセス権があるユーザーにしか参照できないようになっていて、業務システムのセキュリティと完全に同期しているので、セキュアに社内SNSを利用できます。(図2)

図2 商談情報とChatterが統合されたインターフェース
 
その他にも、モバイル・アプリケーション、社外ユーザーとのコラボレーション、レコメンデーション・エンジン、専門家の可視化、ゲーミフィケーション機能、その他多くの機能を提供しており、かつ、進化し続けています。
 
ビートコミュニケーション 村井亮氏:
 
 

弊社では複数の社内SNSを扱っていますが主力製品のBeat Shuffleの操作性は普段使い慣れた消費者向けSNSサービスと類似の仕組みを採用することで、マニュアルやヘルプ機能がなくても社員が直感的に操作することが出来ます。
 
また、管理画面ではプロフィール登録項目やコンテンツの名称、必要な機能等、企業ごとに細かな部分を変えたいという要望があった際に、お客様側で自由に修正できる仕様になっています。
 
また、通報機能/NGワード機能などもあり、ネガティブな内容の投稿があった際に管理者へ通報する機能や、管理画面で設定した特定のワードが投稿された場合、管理者に通知が行く仕組み等が揃っています。自由な発言が可能となる社内SNSでは企業視点からはリスクがある為、そこをフォローした機能となっています。
Beat Shuffleはパッケージ製品となるため、利用する全顧客にとって「追加でその機能があったら便利」や「こういった判り易い表示が欲しい」と言った一部の汎用的な機能に関してはカスタマイズ費用を頂かないで標準実装してしまうことが多いです。より見やすく、使いやすい製品を目指して常に改良しています。
 
また弊社では他にも簡易型のConnectという社内SNSも提供しています。Beat Shuffleが座って働くデスクワーカーを想定したものに対し、Connectはどちらかといいますと店舗型に軸足をおいたモバイル中心のSNSになっています。

 
■未来の展望とまとめ
 
ビートコミュニケーション 村井亮氏:では最後に今後の未来の展望はどうでしょうか?
 
ビートコミュニケーション 村井亮氏:弊社では未来のエンタープライズソーシャルでは社内インフラ化が更に進み、スマートテクノロジーや医療との連携が進むのではないかと見ています。ウェアラブルで取得した自分の健康状態を社内コミュニケーションに自主投稿し、社員全員が健康的に仕事に取り組む世の中が来ています。社員の健康維持は大きく企業の生産性や創造性発揮に影響します。実はFacebookでも2014年4月にプロトゲオというフィットネス・トラッキングアプリ「Move」を提供している会社を買収しています。そして来年以降ヘルスケア市場に参入すると言われています。
 
高齢化社会に向け医師不足が深刻と言われる日本の医療もウェアラブル×コミュニケーションツールによって遠隔で医師とのやり取りが可能になったり、患者と医師はもちろん、医師同士、患者同士のコミュニケーションツールとしても大きな価値を生み出すと考えています。医師不足を補うためには1979年の琉球大学を最後に新しい医学部ができていない利権絡みの体制を改善することは言うまでもありませんが、その間、テクノロジーを使い、一人あたりの医者ができるだけ多くの患者を診れる体制を作らないといけません。
 
 
セールスフォース 大川宗之氏:Chatterによる社員同士のつながりは、さらに社外のビジネス・パートナーやお客様とのつながりへと広がっていきます。これは既にCommunity Cloudとして製品提供されているものです。そしてその先は、人以外のモノともつながっていきます。自動車、歯ブラシ、温度計、ウェアラブルデバイス、プリンター、自動販売機、などがつながっていき、将来は私達が今は想像出来ないようなモノがつながっていくことでしょう。重要なのは、モノがつながることではありません。モノの先にいるお客様とつながっていくことがビジネス上重要な意味を持ってきます。その変化の波を吸収し活用し、成功できるプラットフォームを持つことこそ、これからの企業に求められていることだとSalesforceは考えます。